チャンピオンカーニバル

リングにかけろ1

リングにかけろは、はじめは下町人情の要素を含んだ正統派熱血ボクシング漫画だったわけですが、次第に「超人モノ」「SFモノ」と呼ばれる世界へと変貌を遂げていきます。

その一つの転機がチャンピオンカーニバル編で、実際、車田先生自身もコミックス第8巻の巻頭で「それまで作品的にも人気においても、いま一歩くすぶり続けていたものが、これで一気にメジャーになった」と書いています。

個人的にはテリブル東京やロクさんとセッちゃんの恋物語、また富藏の外道っぷりなど、序盤の話もそれなりに味があって良かったと思うのですが、たしかに人気という点では後半のそれはすごいものがありました。

さて、チャンピオンカーニバルが転機となった理由としては、まずブーメランフック、ローリングサンダーという2つの必殺パンチ、いわゆるフィニッシュブローが初めて登場したことが挙げられると思います。

仮面ライダーのライダーキック然り、やはり男子にとって「必殺技」は心躍るものがあると思うのですね。名前を叫びながら必殺技を繰り出すというのは人気を高める上で非常に重要だと。

さらに、この2つのパンチが「何となく本当に打てそう」と思わせるものだった点も大きかったのではないでしょうか。当時、拳を内側に捻りながらフックを打ったり、また左手でシュシュシュッと高速で3回パンチを放つなど、ブーメランフックやローリングサンダーの真似をしていた友達は多かったですし、実際、私もしていました(もう高校生でしたがw)。

これがいきなりギャラクティカマグナムだと、さすがに現実離れしすぎていて、ここまでの人気が出たかどうか。段階的にパンチの威力が増していくという戦略は、結果的に正解だったと思います。

そしてもう一つ重要なのは、このチャンピオンカーニバルで竜児に「仲間」が出来たことです。ご存じのように、後にジャンプ漫画の三大要素と言われるようになる「友情・努力・勝利」 ですが、これまでのリングにかけろには、剣崎との微妙な関係以外、ほぼ「友情」の要素がありませんでした。

それがここに来て石松、志那虎、河井という仲間が登場し、また剣崎を加え一気に黄金の日本ジュニア結成となった展開も人気に後押しをしたのではないでしょうか。

ちなみに河井(姉弟)は子犬を跳ね飛ばしたり、戦意喪失している相手をタコ殴りにしたり、石松にエルボーを食らわしたりと、めちゃくちゃ悪い奴だったのに、竜児との敗戦を機に非の打ち所の無いくらい良い人に変貌したのは、「いくら何でも人格変わりすぎだろ!」と突っ込みたくなったものです。

この後、日米決戦編、影道編、世界大会編とまたそれぞれの転機が訪れるわけですが、それについてはまた別に書きたいと思います。

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