コンピュータを駆使した作戦で日本チームを翻弄したドイツジュニア。中でも河井対ゲーリング戦は、コアなファンの間では、数ある試合の中でも屈指の名(迷)勝負として知られていますw
一応説明しておくと、世界大会準決勝戦に、共に無敗で臨んだ日本とドイツですが、アインシュタインの再来と呼ばれるIQ300の超天才ヘルガは、コンピュータで日本ジュニアのフィニッシュブローを解析し、それを破る作戦を選手に授けます。
対する日本ジュニアは、アインシュタインアカデミーでヘルガと首席を争ったというやはり天才のキャサリンが、ドイツチームのデータが詰まったオデッサファイル(改訂版ではシュバルツファイル)を持参してこれに対抗。決戦の火蓋が切られました。
初戦の石松対ゲッペルス戦では、ガリレイの落体の法則を利用した作戦でゲッペルスが一度はハリケーンボルトを破るものの、石松の「飛び上がるふり」で裏をかかれあえなく敗退。
そして2戦目の志那虎対ヒムラー戦でも、スペシャルクロスカウンターで優位に立ったヒムラーでしたが、その後志那虎に拳を砕かれ、やはりあえなく敗退。
こんな「飛び上がるふり」だの「拳を狙う」だの、ちょっと考えればすぐに思いつくような策に破れてしまうとは、「ヘルガは本当に天才なのか?」と少し疑わしくなったところで、本題の3戦目、河井対ゲーリング戦へと続きます。
ゲーリングの作戦は「完全弾性衝突の原理」を応用したものだそうで、いわゆるボールレースの原理なわけですが、なぜかそのボールレースが突如ドイツのリングサイドに出現しますwどうしてわざわざ敵にヒントを与えるようなマネをするのか、意味不明ですね。
で、この作戦の一番の突っ込みどころは「河井とゲーリングは身長、体重、髪の毛一本に至るまで全く同一の肉体構造を持っている」という点でして、私もそうでしたが、リアルタイムで読んでいた時に「いや、どう見ても同じじゃないから!!」と突っ込んだ方はかなり多かったのではないでしょうか。
加えて、仮に同じだったとしても、ジェットアッパーの威力がそのまま戻ってくるというのも相当眉唾ものです。これまでのゲッペルスやヒムラーの作戦は一応「おおっ!何かよく分からないけどスゴいぞ!」という感じでしたが、さすがにこのゲーリングに至っては「あり得んだろ!!」としか言いようがありません。
結局ゲーリングのこの作戦は河井の「ジェットアッパーではなくただのアッパーカットを打って威力を吸収できなくする」という、なんだか分かったようで分からない対抗策によって敗れるのですが、この時の構図もかなりのものがありまして、もう頭上でパンチを繰り出してますw
詳しくは省きますが、この後ヘルガ自身も竜児に敗退。代々木体育館のコンピュータルームに駆け込み、松本零士コンピュータwに剣崎の新パンチが完成しているのかを問いかけますが、あっさりデータ不足と撥ね付けられてしまいました。
まあ、いかにコンピュータといえど、何のデータもなくてはさすがに解析のしようが無いわけで、分からないものは分からないと答えるあたり、なかなか正直なコンピュータで好感が持てますw
個人的にはこのドイツ戦は、リングにかけろがもはや普通の(まともな)ボクシング漫画ではないことをハッキリと宣言し、さらに作品の代名詞ともなるギャラクティカマグナムが登場した、非常に重要なパートだと考えています。