前回は竜児と剣崎のタイトルマッチにおいて日本ジュニアの面々や影道総帥が各々のセコンドに付くことが決まったところまで書きましたので、今回はその続きを。
日本武道館のコンピュータルームと思しき場所で、ヘルガとキャサリンは破滅を招きかねないこのタイトルマッチを阻止しようと、コンピュータにさまざまな情報をインプットしていきます。
武道館や代々木体育館に松本零士先生が描いたような大型コンピュータがあり、それを部外者が使用しているという問題はさておき、世界大会でその頭脳を競い合った二人が協力して作業する姿は、もうそれだけで感涙ものです。
しかし考えてみると、キャサリンはおそらく雇い主であろう剣崎のためなので、ある意味当然と言えば当然なのですが、一方、ヘルガを突き動かしているものは「友情」しかないと思うのですね。このあたりにも一見冷静沈着なヘルガの「熱き漢」ぶりが現れているのではないでしょうか。
その後、アメリカ、イタリア、フランス、ドイツ、ギリシアと、これまで日本ジュニアと対決した各国の面々が登場。ドン・ジュリアーノの脇にいるのがディノベーゼなのは笑えます。そしてフランスのもう一人はティファニー、フェリスタ、シルビイ、クロディーヌのうちの誰なのかは未だに分かりません。
そして当然のごとくギリシア十二神が現れるわけですが、黄金のヘリコプター編隊の登場は十二神編、阿修羅編に続いてもう三度目なので、「やっぱり出たか・・・」と少しばかり笑ってしまいましたw
さてこの後、ヘルガが竜児の、キャサリンが剣崎の控え室に試合の中止を訴えに訪れますが、この際の竜児と剣崎の台詞は本当に心に響きます。
さらにこの下りで一番印象的だったのは、久々に登場の三条武仁氏の「50年も60年も生きてふと後ろを振り返った時、何一つしていないことに気付く人間も多い・・・」という台詞。リアルタイムで読んでいた時は「オレはそんな風にはならない!」といきがっていましたが、この歳になるとすごく胸が痛いです・・・。
それと加奈子ちゃんの涙もとても心に響きます。剣崎から婚約破棄の公開処刑をされた時でさえ一切表情を変えず鉄面皮だったにもかかわらず、この場面ではボロボロと涙を流し感情を顕わにしていました。彼女の竜児に対する気持ちは恋愛だったのか否か、そのあたりはもう想像するしかありませんね。
そして選手入場のシーンになりますが、ここで浅丘先生やアキラ、さっちゃん、辻本の姿があったのはすごくうれしかったです。スーパーボクサーたちだけでなく、初期のリングにかけろを彩った人々が最後でまた登場したのはとても良かったと思います。
さらにシレッと阿修羅の二人も。勝手にケンカを吹っかけてきたのに、「かつての敵は今日の友」とばかりに仲間面をして観戦しているあたりが何とも言えません。そして邪鬼は分かるにしても、なぜかもう一人が羅刹鬼・・・せめて獅子王か百鬼丸あたりが妥当だと思うのですが(個人的には闇法師を希望w)。
と、ここまで長々と書いてきましたが、当時、タイトルマッチが決まり、リングにかけろの最終回が近いことを感じてからは、一つ一つのシーン、台詞が、本当に涙無しには見られませんでした。そしてその感動は、今読み返しても、色あせるどころか、さらに輝きを増しているように思えるのでした。