河井武士(改訂版考察その4)

リングにかけろ1

南部の帝王・N.B.フォレストが改訂版ではミスターホワイティに変更になっているのはかなり有名な話ですが、ここまで極端ではなくても、登場人物の二つ名や呼称などがコミックス版から変更になっている例はいくつか見受けられます。

で、そういった例はなぜか河井に関するものが多いので、個人的にも好きなキャラですし、今回はそれについて取り上げてみたいと思います。

リアルタイムで読んでいた人間にとっては、河井武士と言えば「越後長岡の若武者」なわけですが、改訂版では「若武者」はほぼ全て「貴公子」に置き換えられていまして、あの感動的だった世界大会決勝の「さらば・・・」のシーンですら変更になっているのです。

一つ苦言を申し上げるならば、感動というものは絵やセリフなどが一体となって脳裏に刻まれるものなので、当時この「さらば若武者・河井武士よ」に感動した私としては、若武者が貴公子に変わるだけで、どうしても感動の度合いが薄れてしまうのですよ。「若武者」という単語が特に倫理的に問題があるとは思えないので、このあたりはそのままにしておいて欲しかったというのが本音です。

あと「越後長岡」というフレーズも改訂版ではかなり減っていますね。「明日、越後長岡に帰ります」が「明日、長岡に帰ります」に変更になっていたりとか。まあ、これはこの方が自然ですかね。ちなみに私は長岡が新潟県だということを、この作品を読んで初めて知りました。

また、河井が日本ジュニアの他のメンバーのことを何と呼ぶかについても、改訂版では結構な変更があります。コミックス版では志那虎さん、高嶺君、剣崎君、石松君と呼んでいまして、これは丁寧なしゃべり方をする河井のキャラに合ったものだと思うのですが、改訂版では、剣崎と竜児はそのまま「君付け」なものの、志那虎と石松については呼び捨てに変えられています。これも変える必要があったのか疑問ですが、そのあたりは別の機会にまとめて書くことということで。

参考までに、竜児が2歳年上の志那虎のことは呼び捨てにするのに、なぜ1歳年上の河井には「さん付け」なのかは、永遠の謎ですw

その他の変更点としては、コミックス版で、対ナルシサス戦の際に河井は「ぼくも以前は剣よりも一輪の花をとうとぶ男だった」と言っているにもかかわらず、チャンピオンカーニバルの花束贈呈の時には「男に花など似合いはしない」と、花束を捨てているのです。その矛盾を解消するために、改訂版では「この花はぼくには似合わない」に変更になっていますが、そのおかげで「嫌な奴感」が倍増していますw

それと細かいことですが、河井姉の名前が「貴子」と明記されているのも変更点の一つですね。リアルタイムでは、河井姉の名前は明らかになっていなかったのですが、リングにかけろ2で貴子だと判明し、改訂版はリングにかけろ2より後の発行なので、修正したという感じでしょうか。これはナイスだと思います。

最後に、これは改訂とは関係無いのですが、河井と言えばボクシングとピアノの二刀流でして、イメージ的にはチャンピオンカーニバルでの初登場の時からピアノに関する描写があったように思っていたのですが、よく読み返すと、これは影道編で唐突に出てきた設定なんですよね。

チャンピオンカーニバルや日米決戦ではピアノに関連する話は一切無く、影道戦のメンバー探しの際に「河井さんは天才ピアニストとしての道を歩んでいるので・・・」といきなりピアニストだったことが明らかになるわけです。これには少しびっくりしました。

河井はこの後、阿修羅編でメインを張ったり、またリングにかけろ2では日本ジュニア最後の生き残りとなって麟童と竜童のタイトルマッチに立ち会っていました。聞くところによると、当時、男子にはあまり人気が無かったそうですが、私は当時も今もかなり好きなキャラなのですw

タイトルとURLをコピーしました