参謀ヘルガ(その2)

リングにかけろ1リングにかけろ2

ドイツ軍団の参謀ヘルガについて、前回は主に世界大会でのことを書いたので、今回はその続きである十二神戦から。ナポレオンとスコルピオンが、自らの命と引き換えに勝利を得て、外国勢最後の一人となったヘルガは、影道総帥にドイツ軍団の理想を託して、プロメテウスとの闘いに臨みます。

で、いきなりケチを付けるようで申し訳ないのですが、ドイツ軍団の理想とは、「大人の手で汚れていない新しいボクシング界を若者の手で創造する」というもので、表向きはたいそう立派ですが、世界大会の際には「その実は拳による世界制服で、ドレイになるのはごめんだ」と、志那虎から全否定を食らっていたのですね。もちろん、日本に破れて方向転換をし、健全なものになった可能性はありますが、いずれにせよ総帥はそんな安請け合いをして大丈夫なのかと、ちょっと心配になったものですw

ちなみに総帥は、上司のスコルピオンに対しては「呼び捨て&タメ口」なのに対し、なぜか部下のヘルガには「どの付け&敬語」だったりします。理由については、あくまで推測ですが、常に兄・剣崎順の影に隠れた存在だった総帥は、同じような境遇のヘルガに親近感を持ち、さらに、それに不満を持つわけでもなくスコルピオンに絶対の忠誠を誓う彼に尊敬の念を抱いていたりしたのではと、個人的には考えているのですが、どうでしょう?

さて、だいぶ脱線しましたが、話を試合に戻すと、ヘルガはプロメテウスのフィニッシュブロー・グランドクロスを喰らっていきなりダウンと窮地に立たされるものの、決死の「相討ち狙い」で両者ダウン。この試合で初の引き分けかと思われましたが、結果はなぜか「ヘルガの勝ち」でした。一応「ダウンしている相手にパンチを繰り出した時点でプロメテウスの反則負け」という説が有力のようですが、真偽のほどは分かりませんw

ところで「ボクシングなのにヘルガはなぜ相討ちを狙ったのか?」ということですが、これは「そもそも十二神戦はどうなったら勝ちなのか?」という問題に起因します。例えば世界大会などは、5on5で「先に3勝したチームの勝ち」という明確なルールがあるわけですが、十二神戦はハナから両チームの頭数も違っていたりと、そうは単純にいきません。で、いくつかの描写から、十二神戦はいわゆる「殲滅戦」で、「相手を全員戦闘不能にした方が勝ち」なのではないかと。

まさに菊ちゃんの言う「ただの殺し合い」ですが、そのようなルールのため、ヘルガのIQ300の頭脳は、勝ち負けよりも、一人でも敵の人数を減らしておくのが得策と判断したのではと推測されます。

余談になりますが、私は連載当時、「十二神戦ではついにヘルガのフィニッシュブローが登場するのでは?」と期待していたのですが、残念ながらそれは叶いませんでした。ただ後になって考えると、これによって必殺技に頼らずあくまで自らの知力のみで闘うというヘルガ独自の魅力がよりクローズアップされたわけで、結果的には最善だったのだと思います。

さて、十二神戦も無事(?)終了し、ヘルガの次の出番は竜児と剣崎のタイトルマッチの章となります。ドイツ医学界の権威・シュタイン博士から二人の身体の異常を伝えられたヘルガは、タイトルマッチ会場に出向き、キャサリンとの「初めての共同作業w」によって、コンピュータで「破滅の時」を弾き出し、竜児の控え室を訪れて、試合を中止するように進言します。ご存じのようにそれは受け入れられませんでしたが、この控え室での会話は当時本当に涙をそそられたものでした。

ちなみに、この時控え室に説得に行ったのが、スコルピオンではなくヘルガだというのが、自分としては実は結構すごいことだと思っていて、いかにコンピュータで解析したのがヘルガであり、竜児とは世界大会で対戦した縁があるとはいっても、普通ならこのような重大な説得にはトップが行くものだと思うのですよね。なので、もうこの時点でヘルガはすでに「一介の参謀」などではなく、スコルピオンと同等かそれ以上の、ドイツの代表とも言える存在になっていたように感じました。

それでは最後に「リングにかけろ2」でのヘルガの活躍を少々。若干のネタバレを含みますのでご容赦ください。

リンかけ2におけるヘルガの初登場は、旧ドイツジュニアの反乱分子によって瀕死の重傷を負ったファーザースコルピオン(息子と区別するためこう呼ばれていましたw)を蘇生させるための手術室のシーンでした。すでにこの時には「世界一の名医」との評価を得ていたようです。

ちなみにスコルピオン親子は容姿がかなり似ているのですが、「ジョルジュ・ディートリッヒ・ヘルガ」と呼ばれるヘルガの息子はメガネも掛けておらず、正直、親にあまり似ていませんねw あと息子は名前まで明らかになっているのに、親は相変わらず「ヘルガ」のまま・・・。

そして最大の見せ場はなんといっても、「夢の対決・河井VSヘルガ」でしょう。リンかけ2の主役はあくまで麟童たちであって、あまりノスタルジー的なものに傾倒するのはいかがなものかと、理屈では分かっているのですが、やっぱりこういうのは燃えるんですよねぇw「カワイくん、今度殴り合いませんか?」は、リンかけ2では個人的に連載初回の石松登場以来の感激でした。

またジェットアッパーも、これ以前にも響が放ってはいましたが、やっぱり本家のは格別だと、リアルタイム世代は思ってしまったのでした。

それと、石松が亡くなった際に葬儀のため来日したのもヘルガでした。スコルピオンは病み上がりのためやむを得ないとは思いますけれども、やはりここでも「ドイツ=ヘルガ」という感じですね。あまり詳しくは書きませんが、リンかけ2を未読の方は、よろしければ一度お読みになってみてください。

と、ここまで、前後編に分けてヘルガについて書いてきましたが、まだまだ書き足りないほど、このキャラは奥が深いです。機会があれば、ぜひさらに掘り下げてみたいと思います。

タイトルとURLをコピーしました