十二神がやって来る

リングにかけろ1

前回、オルフェウスのかげ腹について書きましたが、この十二神が日本にやってくるというくだりには他にも結構面白いポイントがあるので、今回はそれについて書きたいと思います。

それにしても車田先生はこういう描写がうまいですねぇ。この見開きだけで、十二神の強大さ、神秘さについての想像を思い切り掻き立ててくれます。

さて、そもそも、アポロンが日本ジュニアを仮死状態にしたのは、彼らが生きていると分かれば十二神との闘いを避けられないからという理由からでした。しかしバルカン曰く、十二神はそこまで甘くないとのことで、手ぶらでは帰れないので、肉親はおろか友人まで八つ裂きにされるというのですね。

ううむ、これじゃただの犯罪者集団です。そのへんのゴロつき連中とほとんど変わりません。「手ぶらでは帰れない」という理由だけで八つ裂きにされたのでは、親類縁者はえらい災難ですw

まあ、菊ちゃんや大村ジムの会長、また志那虎の親父あたりなら、十二神相手でもそう易々とはやられないような気もしますが。実際、リングにかけろ2で大村ジムの会長は先代ゼウスと互角に闘ってましたし。

それはさておき、アポロンもそのことが分かっていながら、なぜ日本ジュニアを死んだことにしたのか、よくよく考えるとちょっと謎なのですよ。

日本ジュニアが生きている→十二神と対決、日本ジュニアが死んでいる→肉親や友人を八つ裂き、とのことなら、無関係な一般人を巻き込むよりも、素直に彼らを蘇らせて、十二神と対戦させた方がまだマシな気がするのですが・・・。それならオルフェウスもかげ腹を切らずにすんだわけですし。

リングにかけろをはじめとして、車田作品にはこのような「うぉ~っ!感動だ~!!」→「うん?よく考えるとおかしくね?」みたいなのが結構あるのですが、それを感じさせないのが当時の車田先生の熱気だと思います。

さて、そしてこの回のもう一つのポイントは、なんと言っても石松です。オルフェウスのかげ腹に心を打たれ、十二神との闘いを避けるためなら何でも我慢すると誓った石松でしたが、

わずか数ページ後

これですよ!!

もう、石松のこういうところが私はたまらなく好きなのです。自分であれだけ言っておきながら、我慢しようとした様子が微塵も無い!

自分を含め、得てして凡人は、「自分で言い出した手前、引っ込みが付かない」ということがありがちですが、そんなちっぽけな考えを吹き飛ばしてくれるこのシーンは、私にとって人生の大きな教訓なのでした。

ちなみにかげ腹を切ったオルフェウスは、元気に竜児対剣崎のタイトルマッチを観戦していました。

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