企業戦士YAMAZAKI

雑記

リングにかけろ1の連載当時、少年ジャンプでは「愛読者賞」なるものがありました。漫画家さんたちがそれぞれ読み切り作品を掲載し、読者投票によって順位を決めるというものです。

十二神戦でリングにかけろ人気が最高潮に達した年、車田先生は「リングにこけろ・実録神輪会」を掲載し、本編の人気も相まって、見事第一位を獲得したのでした。

内容的には、車田先生とアシスタントたちが黄金の日本ジュニアと対決し、「完全敗北」を成し遂げるというパロディなのですが、今回はそれに登場する当時アシスタントだった富沢順先生が後に描いた「企業戦士YAMAZAKI」について取り上げてみたいと思います。

企業戦士YAMAZAKIは1992年から1999年にかけてスーパージャンプで連載されました。同じくスーパージャンプで2000年からリングにかけろ2が掲載されているので、ちょうど入れ替わりのような形になりますね。

実は私、この作品の大ファンでして、今でもコミックスを全巻持っています。ご存じない方のために解説すると、お話し的には過労死したサラリーマンが戦闘型サイボーグに改造され、企業に派遣されて、新製品や新しいビジネスモデルに取り組み、その中でライバル企業の刺客と対決するというものです。

で、何がいいのかというと、一つは純粋にビジネス漫画としての面白さですね。YAMAZAKIが提案した物の中には現実に実用化された物もありますし、また逆に今考えるとちょっと的外れなことを言っていたなぁという物もあります。

例えば、スマホの前身のような端末に関して、「人々は電話にそこまでの多機能を求めてはいない」と切り捨てるシーンもありました。リアルタイムで読んでいた頃は、ちょうどインターネットの黎明期ということもあり、「これからどんな未来が来るんだろう」と想像を掻き立てられたものです。また今読むと時代考証的な面白さがあり、そう遠い昔でもないのに、何かノスタルジーのようなものを感じさせてくれます。

そしてもう一つの素晴らしい点は、一つ一つのセリフが本当にジンと胸に響くのですよ。富沢先生のこのあたりのセンスは、師匠の車田先生をも凌いでいるのではないでしょうか。下手なビジネス書や自己啓発本なんかよりもよほどためになると思います。

毎回の流れとしては、派遣先の社員と新ビジネスを模索→ライバル企業の刺客の妨害→「や、山崎さん、その体は・・・」という感じでして、もう水戸黄門ばりのワンパターンなのですが、日本人的にはこういうのは結構心地いいですし、またそれが「いかにも車田先生の弟子」という絵柄と相まって、独特の世界を創り出しています。

そしてやっぱり出ましたw

リングにかけろのファンなら、絶対に面白いと思ってもらえるはずなので、ぜひご一読をお勧めします。

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