ピンク・レディー(改訂版考察その3)

リングにかけろ1

これまで、コミックス版と改訂版の違いで、下町人情編のカットドイツ軍団に関する修正について解説してきましたが、今回はコンプライアンスの観点から修正、カットになったであろう点について見ていきたいと思います。

最初に断っておくと、このリングにかけろはもう40年以上も昔の作品なのにもかかわらず、現在では出版・放送できない、いわゆる放送禁止用語の類いが非常に少ないです。車田正美先生はイケイケなイメージが強いためw さぞかしヤバい語句のオンパレードだろうと思いながら見ていったので、これは意外でした。

で、そんな中、おもに修正、カットされていたのがブラック・シャフトへの黒人差別とも受け取れるセリフです。

「ウナギよりも黒いその体、ぶっとばされてーのかァ」→「ぶっとばされてえのか、てめえ!!」(石松)「入ってたんですよね、その黒い胸元に石のパンチが」→「入ってたんですよね、その胸元に石のパンチが」(河井)「棄権しろよクロンボ」→「棄権しろよ!」(イタリアのザコ)などなど、さすがにこれはやむを得ないでしょう。

また、N.Bフォレストや、ヘルス・エンジェルスなど、黒人差別団体の創始者や全米最大の暴走族を実名で出していたため、これもミスターホワイティ、グレイトエンジェルスにそれぞれ改変になっています。こう考えると、日米決戦編は結構無茶してましたねw

そして実名と言えば、なんと言ってもこれでしょう。チャンピオンカーニバル準決勝抽選会の際に登場したピンク・レディーです。

当時人気絶頂だったピンク・レディーが、はたしてたかだか中学生のボクシング大会にゲストとしてくるだろうか?という突っ込みはさておき、これ、事務所に許可は取っていたのでしょうか?

当時は権利関係も結構いい加減でしたし、芸能人やスポーツ選手などが漫画等に登場することについて「まあ宣伝になるからいいか」と黙認していた例も結構あると聞きます。また無許可でもあまりにも堂々とやられると、芸能事務所側の人も皆「誰かが許可を出したんだろう」と思い込んでしまい、結局誰も許可してなかったということもあるとか・・・。

ちなみにこのシーンは改訂版ではページごとカット、ユニット名も「ピンク娘」に変更になっています。これを見た時、「改変はやむを得ないにしても、もう少しマシな名前は無かったのか!?」と思ったものですが、考えてみると、改訂版が出た時にはすでにモーニング娘。がデビューしていたので、おそらくそこから取ったのでしょうねw

さらに輪島功一、三迫将弘、ガッツ石松、具志堅用高など、当時の有名ボクサーたちも実名で出ていたのですが、こちらは絵柄自体は生きているものの、名前が伏せられているため、知らない人が見ると「やたら能書きの多いボクシングファンのオッサンたち」になってしまっているのが残念です。

この人たちはコミックスの巻末寄稿にも登場しているので、こちらは無許可というわけではなさそうですが、輪島やガッツ、具志堅と言っても最近の人たちには分からないだろうとの判断なのでしょうか。もしそうなら、欄外に注釈を付ければ済むことなので、当時のファンとしてはちょっともったいない気がします。

次回は、これまで紹介した以外で、改訂版で修正、カットになっている部分をまとめて紹介する予定です。

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